法定相続人の確定について

亡くなった方の法定相続人が誰であるのか、ご家族であれば通常は調査せずともお分かりでしょう。しかし、相続手続をするにあたっては、遺産分割協議に参加している相続人が、法定相続人の全てであることを、戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍)により証明できなければなりません。

遺産分割協議書によって、土地や建物についての相続登記をする際には、ここで説明する全ての戸籍謄本等を法務局に提出する必要があります。

司法書士に相続登記をご依頼をいただいた場合、相続人確定のために必要な戸籍謄本等の収集は全て司法書士にお任せいただけます。それでも、まずはご自身で調べてみたい方のために、司法書士がどのようにして相続人の確定を行っているかについて解説します。

法定相続人の調査・確定の手順

法定相続人を確定させるにあたって、まずは、被相続人に配偶者(夫・妻)がいれば、その配偶者は必ず法定相続人となります。続いて、他に誰が法定相続人となるか、戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍)を取得することにより次の順序で調査していきます。

1.子の有無について

調査方法 調査結果
被相続人の出生(少なくとも13歳位)まで
さかのぼる戸籍謄本等を取得
有り 存命 → 相続人に確定
先に全員死亡 → 1-2 へ
無し → 2 へ

被相続人の出生にさかのぼる、戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍の全てを取得することで、被相続人の子が全て判明します。古い戸籍等が必要なのは、前妻(前夫)との間に子がいる場合や、認知している未婚の子がいる場合にも戸籍に記載されるからです。

2.直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母など)の生死について

調査方法 調査結果
戸籍謄本等により直系尊属の生死を確認
(100歳位まで調査)
存命 → 相続人に確定
先に全員死亡 → 3 へ

子がいない場合、次順位である直系尊属について調査します。親等が異なる直系尊属がいる場合には、近い方が法定相続人となります。たとえば、父母のいずれか(または双方)が存命であれば法定相続人となりますから、祖父母についての調査は不要です。同様に、父母が先に死亡していて、祖父母のいずれか(または双方)が存命であれば法定相続人となりますから、曽祖父母の調査は不要です。

3.兄弟姉妹の有無

調査方法 調査結果
被相続人の父母の出生(少なくとも13歳位)
さかのぼる戸籍謄本等を取得
有り 存命 → 相続人に確定
先に全員死亡 → 3-2 へ
無し → 調査終了(注1)

子、直系尊属がいない場合、第3順位である兄弟姉妹を調査します。

(注1)配偶者がいれば唯一の法定相続人となり、いなければ相続人不存在です。

1-2.代襲相続人(子の子、被相続人の孫)の有無について

調査方法 調査結果
子の出生(少なくとも13歳位)
までさかのぼる戸籍謄本等を取得
有り 存命 → 相続人に確定
先に全員死亡 → 1-3 へ
無し → 2 へ

1-3.再代襲相続人(子の子の子、被相続人のひ孫)の有無について

調査方法 調査結果
子の子の出生(少なくとも13歳位)
までさかのぼる戸籍謄本等を取得
有り 存命 → 相続人に確定
先に全員死亡 → 3 へ
無し → 2 へ

3-2.兄弟姉妹の子(代襲相続人)の有無

調査方法 調査結果
兄弟姉妹の出生
(少なくとも13歳位)
までさかのぼる
有り 存命 → 相続人に確定
先に全員死亡 → 調査終了(注2)
無し → 調査終了(注2)

(注2)配偶者がいれば唯一の法定相続人となり、いなければ相続人不存在です。

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