遺贈による所有権移転登記

遺贈とは、遺言により遺言者の財産(不動産など)を譲渡することです。相続人への遺贈が行われることもありますが、法定相続人ではない人へ遺産を引き継がせるために遺贈が行われる場合が多いです。

遺贈による不動産の所有権移転登記は、遺言に基づくものではありますが、相続登記のように受遺者が単独で登記申請することはできません(相続人への遺贈の場合を除きます)。

遺贈による所有権移転登記は、登記権利者(受遺者)と、登記義務者(遺言執行者、または遺言者の相続人全員)との共同で手続きする必要があります。

遺贈登記のことなら千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へご相談ください。

遺贈による所有権移転登記 目次

1.遺言執行者がいる場合

2.遺言執行者がいない場合(法定相続人全員による登記申請)

1.遺言執行者がいる場合

遺言書に、遺言者の財産を贈与することと併せて、遺言執行者が指定されている場合です(遺言書の記載例は下記のとおり)。このときは、受遺者を登記権利者、遺言執行者を登記義務者として、共同で登記申請をします。

また、遺言により遺言執行者の指定がされていない場合でも、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることで、遺言執行者を選任してもらうことができます。

平成○年 第○○○○号

遺言公正証書(例)

  本職は、平成○○年○○月○○日、千葉県柏市柏一丁目○番○号○○病院において、遺言者甲野太郎の嘱託により、証人乙野花子、証人丙野一夫の立会いのもとに遺言者の口述した遺言の趣旨を次のとおり筆記して、この証書を作成する。

第1条 遺言者は、その所有する財産全部を包括して、鈴木一美(昭和○○年○○月○○日生、住所 千葉県松戸市新松戸一丁目○番地)に遺贈する

第2条 遺言者は、次の者を遺言執行者に指定する

千葉県松戸市松戸1176番地の2
司法書士  丁野 三郎

(以下省略)

登記に必要な書類(添付書類)

1.登記原因証明情報

遺贈による所有権移転登記の登記原因証明情報は、遺言書、遺言者が死亡した旨の記載のある戸籍謄本(除籍謄本)です。遺言書(公正証書による遺言及び遺言書保管法に基づく遺言書を除きます)については、家庭裁判所の検認済証明書付きのものが必要です。

2.登記済権利証、または登記識別情報通知

遺言者が不動産の所有権を取得したときの、登記済権利証(または登記識別情報通知書)です。

3.遺言執行者の印鑑証明書  発行後3か月以内のものが必要です。

4.受遺者の住民票(または戸籍の附票)

5.固定資産評価証明書

登記をする年度の、固定資産評価証明書です。たとえば、令和7年4月1日から、令和8年3月31日までの間に登記するのであれば、令和7年度のものを使用します。

6.代理権限証明情報

遺言書により遺言執行者を指定している場合、遺言執行者の資格を証するため、遺言書、および遺言者が死亡した旨の記載のある戸籍謄本等を添付します。

家庭裁判所により遺言執行者が選任された場合には、遺言執行者の選任審判書を添付します。このときは、遺言者の死亡を証する書面(戸籍謄本など)は添付不要です。また、遺言書は遺言執行者の選任審判書だけでは、遺言の内容が不明な場合のみ添付が必要です。

また、代理人(司法書士)により登記申請する場合には、受遺者および遺言執行者から代理人への委任状も必要です(委任状は司法書士が作成したものに、署名押印をいただきます)。

7.その他

登記事項証明書(登記簿謄本)記載の所有者と、遺言者とが同一人物であることを証するため、住民票除票(本籍の記載があるもの)、または戸籍の附票も添付します。

2.遺言執行者の選任がない場合

遺言書に、遺言者の財産を贈与することは書かれているが、遺言執行者の指定はされていない場合です。このときは、受遺者を登記権利者、遺言者の相続人全員を登記義務者として、共同で登記申請をします。

登記に必要な書類(添付書類)

1.登記原因証明情報

遺贈による所有権移転登記の登記原因証明情報は、遺言書、遺言者が死亡した旨の記載のある戸籍謄本(除籍謄本)です。遺言書(公正証書による遺言及び遺言書保管法に基づく遺言書を除きます)については、家庭裁判所の検認済証明書付きのものが必要です。

2.登記済権利証、または登記識別情報通知

遺贈者が不動産の所有権を取得したときの、登記済権利証(または登記識別情報通知)です。

3.遺言者(遺贈者)の相続人全員の印鑑証明書  発行後3か月以内のもの

4.受遺者の住民票(または戸籍の附票)

5.相続証明書

登記義務者が遺言者の相続人であることを証する戸籍謄本等。

6.固定資産評価証明書

登記をする年度の、固定資産評価証明書です。たとえば、平成24年4月1日から、平成25年3月31日までの間に登記するのであれば、平成24年度のものを使用します。

7.代理権限証明情報

代理人(司法書士)により登記申請する場合には、受遺者および遺言者(遺贈者)の相続人全員から司法書士への委任状(委任状は司法書士が作成したものに、署名押印をいただきます)。

8.その他

登記事項証明書(登記簿謄本)記載の所有者と、遺言者とが同一人物であることを証するため、住民票除票(本籍地が記載されているもの)、または戸籍附票も添付します。

3.遺贈登記の関連情報

遺贈登記の申請書・委任状の作成について
遺言執行者の選任申立て