代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった人(被相続人の子など)が、被相続人よりも先に死亡している場合に、その「相続人になるはずであった人」の子などが代わりに相続することです。
たとえば、上の図では、父が死亡したとき(相続が開始したとき)に相続人となるはずだったのは、配偶者(図では「母」と記載)および長男、長女です。
しかし、平成14年に父が死亡するよりも前の、平成12年に長女が死亡しています。この場合、本来であれば相続人であった長女の代わりに子1、子2が相続人となります。つまり、孫が相続人となるわけで、これが代襲相続です。
さらに、代襲相続人となるはずであった孫も、被相続人が亡くなる前に死亡していた場合には、その孫に子がいれば、その子が相続人となります。これを再代襲といいます。
上記が子が代襲相続人となる場合のルールですが、代襲相続は兄弟が相続人となるはずであった場合にも起こることがあります。
兄弟姉妹についての代襲相続
被相続人に子および直系尊属がいない場合には、兄弟姉妹が法定相続人となります。しかし、法定相続人となるはずであった兄弟姉妹が、被相続人よりも先に死亡している場合、その兄弟姉妹に子がいれば、その子が代襲相続人となります。つまり、被相続人から見れば、甥や姪が相続人となるわけです。
ただし、甥や姪が先に死亡している場合には、その甥や姪の子が更に代襲相続することはありません。兄弟姉妹が相続人の場合には再代襲相続はしないというわけです。
数次相続と代襲相続の違い
上の図で平成14年に父が死亡したとき、母、長男、長女が存命だったとすれば、その3名が法定相続人となります。そこで、父が遺言書を残していなければ、法定相続人3名により遺産分割協議書をし、それにもとづいて不動産の相続登記をすることになります。
しかし、上記のような遺産相続手続きが済む前に長女が死亡したとします。このように、一つ目の相続についての手続きが済む前に、新たに相続が発生している状態のことを数次相続といいます。
親の後に子が死亡するのは、年齢的な順番から考えても自然なことであり、通常であれば何も問題はありません。ここでわざわざ数次相続と述べているのは、一つ目の相続の手続きが完了する前に、新たな相続が発生しているからです。
このケースでは、「父の法定相続人としての長女の地位」を長女の相続人である、配偶者、子1、子2が相続します。代襲相続の場合、代襲相続人となるのは子だけでしたが、数次相続の場合には長女の配偶者も相続人となるわけです。
このように、相続の開始する順序によって、誰が相続人となるかが異なってきますから注意が必要です。