法定相続人が一人である場合には、その唯一の相続人が、被相続人の遺産を全て引き継ぎます。また、法定相続人が複数であっても、被相続人が遺言書によって遺産の分割方法を指定している場合には、原則としてそれに従って遺産相続をすることになるでしょう。
上記以外の場合には、法定相続人による話し合いで、遺産相続の方法を決定することになります。これが、遺産分割協議です。
遺産分割協議は、法定相続人の全員により行う必要があります。法定相続人の中に音信不通の人がいるからといって遺産分割協議から除外することはできませんし、前妻との子や、婚外子(非嫡出子)であっても、相続権がある人は全て遺産分割協議に参加させなければなりません。
そして、遺産分割についての話し合いが合意に至ったら、遺産分割協議書を作成します。そして、この遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印により押印するのです(印鑑証明書添付)。
なお、不動産相続登記を司法書士に依頼する場合には、遺産分割協議書の作成も司法書士が行うのが通常です。そして、法定相続人の全員が、その遺産分割協議書に署名押印をします。
また、遺産分割協議をする際に、相続人の中に未成年者がいる場合、親権者(父母)が未成年者の代わりに遺産分割協議に参加します。しかし、その親権者も未成年者と共に相続人である場合、親と子との間で利益相反することになります。
そのような場合、家庭裁判所で、その子のために特別代理人を選任してもらい、特別代理人が子の代わりに遺産分割協議に参加します。たとえば、夫が死亡し、妻と未成年の子が相続人となる場合は、このケースに該当するので、子のために特別代理人の選任が必要となります。
遺産分割協議は全員の合意が無ければ成立しません。話し合いがどうしても付かない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすることになります。調停申し立てのための家庭裁判所提出書類の作成も司法書士の仕事です。