今回は備忘録的な投稿です。
相続人が一人しかいない法定相続による相続登記だが、相続人が成年被後見人であり、自ら司法書士へ委任することができないというケースのご依頼がありました。
ご依頼者は成年後見人です。法定相続による相続登記ですから、成年被後見人と後見人との間で利益が相反することは無く、保存行為に該当します。
もしも、利益相反行為に該当する場合には、成年被後見人のために特別代理人の選任が必要となりますが、本件ではそのような必要は無く、成年後見人からの登記申請が可能であることは間違いありません。
よって、成年後見人から司法書士に対する委任状を添付することで登記申請を行いました。なお、登記申請書には中間の代理人である成年後見人の表示は不要ですから、通常のものと変わりません(相続登記申請書の記載例はこちら)。
委任状
千葉県松戸市松戸○番地の1
司法書士 司法 太郎
私は、上記の者を代理人と定め、下記の不動産登記申請に関する一切の権限、及び登記識別情報通知を受領する権限を委任する。
1.登記の目的 所有権移転
2.原因 平成24年 1月 ○日 相続
3.相続人 (被相続人 松戸一郎)
千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子
4.不動産の表示 後記記載の通り
平成24年 7月 ○日
委任者 上記松戸花子成年後見人
千葉県流山市松ヶ丘一丁目1番地
我孫子 一子 (印)
不動産の表示
不動産番号 0402000012345
松戸市松戸1176番2の土地
不動産番号 0402000012346
松戸市松戸1176番地2 家屋番号 1176番2の建物
結論としては何も難しいことは無いのですが、成年被後見人が法定相続する相続登記に出会ったのはたぶん初めてなので少し考えてしまいました。司法書士事務所を開業してから10年以上が経過しても、初めて見る登記というのはよくあるものです。
ただし、経験と知識がある司法書士であれば、はじめての登記であっても当然に正解を導き出せるはずです。もちろん、事案によっては法務局との事前打ち合わせも必要ですが。