注意事項(このページについて)
このページには相続登記に関連する先例や質疑応答を掲載していますが、司法書士高島一寛が実務に使用するために作成しているものであるため、必要な箇所のみ抜粋したり要約している箇所もあります。参考にしていただくのは差し支えありませんが、誤りなどがあっても当事務所では一切の責任を負いかねます。また、このページに記載されていることについての質問等は受け付けておりません。
(最終更新日:2021/12/17)
相続登記を申請する際、相続人中に相続放棄をしている人がいる場合、相続放棄をしている人についての「相続放棄申述受理証明書」が必要となります。
遺産分割協議による相続登記の場合、相続人の全員について戸籍謄本と印鑑証明書が必要ですが、相続放棄している人については「戸籍謄本」と「相続放棄申述受理証明書」が必要書類になるわけです。
また、相続放棄申述受理証明書ではなく、相続放棄申述受理通知書の提供による相続登記の可否について、かつては下記の質疑応答によって否定されていました。
それが、下記の質疑応答(登研808号147頁)により上記の取扱いは変更されたものとされました。
しかしながら、全てのケースで相続放棄申述受理証明書による相続登記が可能になったわけではありません。
相続登記の申請で「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」又は「家庭裁判所からの相続放棄申述受理通知書」が添付されているときは、その内容が相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載されているものと認められるものであれば、登記原因証明情報の一部として提供することができるとされているからです。
実際にも、家庭裁判所から交付される相続放棄申述受理通知書には、事件番号、申述人および被相続人の氏名、相続放棄申述の受理年月日は入っているものの、「被相続人の本籍」、「死亡年月日」が記載されていないものがあります。
このような相続放棄申述受理通知書により相続登記の申請をしようとしたところ、相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載されているものとは認められないとの回答が法務局よりありました。
登記官から「少なくとも死亡年月日だけでも入っていれば・・・」というような話はあったものの、本籍も死亡年月日も記載されていないのでは絶対に認められないということでした(結局、このときは相続放棄申述受理証明書を添付することにしたので、どの程度の記載があれば認められるのか明確な結論は得られていません)。
いずれにしても、記載されている事項を実際に確認するまでは、相続放棄申述受理通知書による相続登記が可能になったと安易に判断するべきではないでしょう。