前妻(前夫)との間に子がいる場合
被相続人が再婚している場合、前妻との間に子がいれば、その子も法定相続人となります。もしも、被相続人が遺言書を残していなければ、前妻の子を含めた相続人全員により遺産分割協議を行うことになります。
再婚した配偶者やその配偶者との間の子たちと、前妻との子の関係が良好なのであれば、それでもとくに問題は生じないかもしれません。しかし、遺産分割協議を巡ってのトラブルが予想されるのであれば、遺言書を残しておくのが最善の策です。
遺産の全てを一部の相続人に引き継がせるには
配偶者、子、直系尊属といった、兄弟姉妹を除く相続人には遺留分があります。そのため、遺言によって再婚後の子に全ての遺産を相続させようとしても、前妻との子から遺留分減殺請求を受けることもあり得ます。
この場合でも、公正証書による遺言書を作成しておけば、他の相続人に知られることなく相続登記などの遺産相続手続きを行うことが可能です。公正証書遺言では家庭裁判所での検認手続きが不要だからです。
自筆証書遺言、秘密証書遺言など、公正証書以外の遺言による場合は、検認を受ける必要があります。この場合、家庭裁判所から全ての相続人に対して検認が行われる期日が通知されるので、相続開始の事実と、自身が相続人であることが判明するのです。
それに対し、公正証書遺言では、他の相続人に相続開始時の事実を知らせること無く遺言を執行することも可能です。そして、遺留分減殺請求権は相続開始の時から10年を経過すると時効消滅します。
したがって、前妻との間の子とは全くの没交渉になっており、遺産を相続させる必要も無いと考えるのであれば、上記のように公正証書遺言によって他の相続人に相続させてしまうことも可能だといえます。