婚外子(非嫡出子)がいる場合
婚姻関係に無い男女の間に生まれた子を非嫡出子といいます。非嫡出子であっても、父が認知すれば、その父の法定相続人となります。
結婚する前に、妻となる人以外の女性との間に子供がいたり、結婚後であっても、浮気相手(愛人)との間に子供ができたような場合です。このようにして生まれた子であっても、認知していれば相続権があるということです。
とくに、配偶者やその他の家族に、その子供の存在を知らせていない(隠し子)の場合、相続人間での遺産分割協議を行うのが困難である可能性が高いと言えます。
子供の存在は必ず発覚します
子供の存在を内緒にしていても、遺産相続手続きを行う際には必ずその存在が発覚します(公正証書遺言を残している場合を除く)。遺産分割協議には、法定相続人の全員が参加する必要があり、そのために相続人の調査を行うからです。
具体的には、被相続人が出生してから死亡するまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)を取得すれば、婚姻関係にない相手方との子であっても認知していれば必ず記載されています。
そうして、自らの死後に婚外子(隠し子)の存在が、他の相続人に発覚するわけです。この場合、その子に父親が亡くなったことを伝え、遺産分割協議への協力を求めることになりますが、それで話がすんなりまとまる可能性は低いでしょう。
公正証書遺言の作成
本件のようなケースであっても、公正証書による遺言書を作成しておけば、非嫡出子である子の協力を得ずとも遺産相続手続きが可能なことがあります。法的に有効な遺言書により、遺産分割の方法が指定してあれば、遺産分割協議を行う必要が無いからです。
また、自筆証書遺言、秘密証書遺言などでは遺言書の検認が必要です。遺言書の検認の際には、家庭裁判所から法定相続人に対し検認期日等の連絡が行きますから、全ての相続人が相続開始の事実、および自らが相続人であることを知ることになります。
ところが、公正証書遺言では検認が不要なので、他の相続人に知られることなく遺産相続手続きを進めてしまうことも可能なのです。残されたご家族に遺産相続を巡っての負担をかけないためにも、遺言書の作成を行っておくべきでしょう。
遺言による認知
認知は遺言によってすることもできます。そこで、自らの生前は存在を内緒にしていた子を遺言により認知し、遺産を相続させることも可能です。遺言により認知する場合、遺言執行者が認知の届出を行いますので、遺言執行者の指定も行っておくべきです。