相続放棄の照会書・回答書
相続放棄申述書を家庭裁判所に提出すると、通常は文書による照会が行われます。ここでは、裁判所から送られてくる「照会書」、「回答書」の例を掲載します。
基本としては、ありのままを書けばよいわけですから、とくに難しいことはないはずです。けれども、質問の意味を正しく理解せず、間違った回答をしてしまうと、問題が生じる怖れもあります。
司法書士に相続放棄申述書の作成を依頼している場合には、裁判所からの照会書が届いた時点で、司法書士に相談したうえで回答書を記入するようにしましょう。
なお、本例は、「被相続人の死亡」、もしくは「先順位の相続人の相続放棄が受理された日」から3か月以上が経過して相続放棄の申述をした場合のものです。そのため、「自己のために相続の開始があった日」がいつであるかを明確にするために、回答すべき事項が多くなっています。
松戸の高島司法書士事務所が運営する「相続放棄の相談室」ホームページでは、もっと多くの照会書・回答書の例をご覧になれます。
1.照会書および回答書の例(その1)
事件番号 平成 年(家)第 号
平成 年 月 日
甲野 太郎 様
○○家庭裁判所○○支部
裁判所書記官 乙山 二郎
電話番号 047-703-3201
FAX番号 047-703-3202
照会書
このたび,当裁判所に対し,あなたの名前で被相続人亡○○○○さんに関する相続放棄の申述(しんじゅつ)がありました。
ついては,あなたの本当の意思を確認したいので,同封の回答書に必要事項を記入のうえ,署名押印して右上記載の日付から10日以内に当裁判所あてに回答してください。
注意
- 相続放棄とは,被相続人(亡くなった人)の遺産及び債務を一切引き継がないこと,すなわち,相続人とはならないということであって,あなたの相続分を他の相続する人(あなた以外の相続人で相続放棄をしない人)に贈与するというものではありません。
- 回答書は,あなた自身で記入のうえ署名し,申立ての際に使用した印鑑と同じものを押印してください。
- あなたが自分で書けないときは代筆してもらうこともやむをえませんが,相続する人及びその配偶者(夫又は妻)は代筆できませんので注意してください。また,代筆によって回答書を作成した場合には,代筆した理由,あなたと代筆者との関係および代筆者の任所を回答書の所定の欄に記入させたうえ,代筆者に署名押印をさせてください。
- 一つを選んで記載するようになっているところは,該当するア,イ,ウなどの記号に○印を付けてください。
- 記入事項欄だけでは記載できないときには,適当なA4(日本工業規格のA列4番)の用紙に続きを横書きで記載して,回答書とともに左側余白2か所をステープラでとめて,回答書に押印したものと同じ印鑑で割印してください。
- 記載にあたっては,インク又はボールペンを使用し,鉛筆など消しやすい筆記具では記載しないでください。
- その他,本件について不明な点があるときは,当裁判所あてに問い合わせてください〔電話000-000-0000(代表)〕。
事件番号 平成 年(家)第 号
○○家庭裁判所○○支部
裁判所書記官 乙山 二郎 様
回答書
照会事件につき,次のとおり回答します。
平成 年 月 日
住所
電話番号
申述人(署名) 印
- あなたの名前で,当裁判所に相続放棄の申述手続がなされていることを知っていますか。
(1)知っている。
その手続は
ア 自分自身で行った。
イ 他の人(氏名 あなたとの関係 )に頼んだ。
(2)知らない。 - あなたが被相続人の相続人であることを知った日はいつですか。
ア 被相続人死亡の日
イ 平成 年 月 日
知るようになった経緯は
a (氏名 )から被相統人の死亡の事実を聞いた。
b 先順位者が相続放棄をしたことを(氏名 )
からの通知等で知った。
c 被相続人の債権者(氏名 )からの催告で知った。
d その他(具体的に書いてください。) - 被相続人の遺産の種類には,どのようなものがありますか(ないものは「なし」,あることは分かっているが数量等が分からないもめは「不詳」,あるか無いか分からないものは「不明」と書いてください。)。
(1)農地 約 ㎡
(2)山林 約 ㎡
(3)宅地 約 ㎡
(4)建物 約 ㎡
(5)現金・預貯金 約 万円
(6)有価証券 約 万円
(7)負債 約 万円
(8)その他 - 上記3の(1)から(8)の相続財産について,既に相続してしまったものがありますか。
(1) ある(その内容を以下に具体的に書いてください)。(2) ない。
- 上記3の(1)から(8)の相続財産について,その一部または全部の存在を知ったのはいつですか。
5-1.(1)から(6)について(全部について「なし」又は「不明」の場合は記載不要です)。
ア 被相続人の生前より知っている。
イ 被相続人の死亡した日に(氏名 )から聞いて知った。
ウ 被相続人の死亡後,平成 年 月 日に(氏名 )から聞いて知った。5-2.(7)について(必ず記載してください)
ア 被相続人の生前より知っている。
イ 被相続人の死亡した日に(氏名 )から聞いて知った。
ウ 被相続人の死亡後,平成 年 月 日に(氏名 )から聞いて知った。 - 被相続人の生前の生活状況,経済状況等について,あなたが知っている事柄について書いてください。
- あなたと被相続人との間の生前の交際の状況について書いてください。
- 通常,自己が相続人となったことを知った日から3か月以内に相続財産の有無及びその状況を調査し,相続財産を相続するか若しくは相続しないかを決めることになります。あなたは,3か月の間にどのような調査を行いましたか(調査を行っていない場合には「行わなかった」と記載し,調査を行わなかった又は調査ができなかった事情を具体的に書いてください。)。
- あなたは,被相続人が死亡し,若しくは先順位の相続人の相続放棄が受理され日から3か月以上経過して相続放棄の申述をしていますが,今まで相続放棄の申述を行わなかった理由を具体的に書いてください。
- 相続放棄の申述は,あなたの真意に基づくものですか。
(1) 私の真意に基づくものです。
(2) 私の真意に基づくものではありません。
その理由は
ア (氏名 )に強要された。
イ 相続放棄の意味が分からなかった。
ウ その他(具体的に書いてください。) - その他参考になること,希望等がありましたら書いてください。
2.照会書および回答書の例(東京家庭裁判所の一例)
事件番号 平成 年(家)第 号
平成 年 月 日
申述人 松戸 太郎 様
〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2
電話直通03-3502-0000
東京家庭裁判所家事第○部
裁判所書記官 東京 一郎
照会
あなたが申し立てた被相続人 柏 花子 さんの相続放棄の申述受理申立事件について、下記のとおり照会します。各事項について回答を記入の上、末尾にあなたの住所、氏名、電話番号を記載し、押印して○月○日までに返送してください。
記
1 あなたは、被相続人の死亡を、いつ知りましたか。
平成 年 月 日ころ知った。
※死亡した日とあなたが死亡を知った日とが違う場合はその理由も述べてください。また、死亡を書面による通知で知った場合は、その書面のコピーを添付して下さい。
______________________________
2 あなた又は申述人は、被相続人の遺産の全部又は一部について、これまでに処分、隠匿又は消費したこと(例えば、遺産の土地を売却したり,預金をおろして使ったりしたこと)がありますか。
(1) ない。
(2) ある。(内訳)
3 あなたは、被相続人の相続について、家庭裁判所に相続放棄の申述申立(本件)をしましたか。その申述は,あなた自身でしたものですか。それとも誰かに手続きを依頼したものやすか。
(1)申立ては自分でした。
(2)申立てを( )さんに依頼した。
(3)申立てはしていない。
4 上記3の相続放棄の申述(本件)は,あなたの意思によるものですか。
(1)自分の意思である。
(2)自分の意思ではない。
5 あなたが、被相続人の相続について相続放棄をする理由を具体的に記入してください。
6 あなたは、自分が被相続人の相続人であることを知ったとき、被相続人の資産及び負債についてどう思いましたか。
・資産は、 1 あると思った 2 ないと思った
・負債は、 1 あると思った 2 ないと思った
7 あなたが上記6のように思った理由はなんですか。(具体的に記入してください。)
8 あなたは,被相続人に負債があることをいつ知りましたか。
平成 年 月 日ころ知った。
9 あなたは,被相続人に負債があることをどのようにして知りましたか。
※なお,債権者からの書面により知った場合は.その書面のコピーを添付してください。(既に提出いただいている場合は、添付いただかなくて構いません。)
______________________________
上記のとおり回答します。
平成 年 月 日
住所 千葉県柏市柏の葉1丁目○番
電話番号 047-703-3201 (携帯電話番号 090-1234-5678)
氏名(署名) 松戸 太郎 (印)
注)やむを得ず代筆する場合は、余白に代筆者の氏名、連絡先(電話番号等)、押印及び代筆の理由を明記してください。