本日付の日本経済新聞マネー&インベストメントのページに「相続の基礎(中)」が掲載されています。
司法書士の目から見ればとくに目新しいことはありませんが、冒頭「相続に直面して誰もが驚くのが、遺産分割協議や名義変更などに向けた手続の大変さ」との言葉に目を惹かれました。
相続に直面して「誰もが驚く」のであれば、新聞やマネー誌等にしばしば掲載される相続に関する記事は、なんの役にも立っていないことになってしまうのでは~?
と、言いたくなってしまいましたが、それはさておき。たしかに相続の手続は一般の方にとって大変なのは間違いないでしょう。
大変な作業の筆頭にあげられていたのが、亡くなった方(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)が必要だということです。
これは相続人の全員を確定させるために必要なものですが、記事の例では、三重県や北海道など本籍地が転々と移っていたために8ヶ所の役場への請求が必要で、2ヶ月もの期間を要したとのことです。
そのようなケースもたしかにありますが、普通はそこまで手間がかかることは少ないでしょう。生まれた市区町村と、結婚後に本籍地を置いた場所の2ヶ所に加え、さらに1,2ヶ所程度というのが通常だと思われます。
住所と本籍地とは別のものですから、引越をしても自らの意思で本籍地を移す(転籍)しない限りは、本籍地は変わりません。
よって、マイホームを購入した場合にはそこに本籍地を移すでしょうが、賃貸マンション等であれば引っ越したからといって本籍地を移す方は少ないはずです。
それにしても、戸籍謄本等の収集は一般の方にとって面倒であることは確かでしょう。しかし、司法書士に相続による不動産の名義変更(相続登記)をご依頼いただいた場合、戸籍謄本等の収集についても司法書士にお任せいただくのが通常です。
相続登記等の業務をご依頼いただいている場合、司法書士はご本人に代わって戸籍等の取得をすることが可能ですので。結局は、相続の手続は司法書士にご相談くださいとの結論になってしまいました。