千葉県松戸市の高島司法書士事務所「相続・遺言の相談室」ホームページに、相続放棄申述の照会書および回答書(例)のページを追加しました。
これは北関東の某地方都市にある家庭裁判所から送られてきたものとほぼ同一です。
本件の依頼者(相続放棄の申述人)は、被相続人の甥と姪です。
分かりやすく言うと、「街金から、親戚のオジさんの借金を払えとの督促状が突然送られてきた」というものです。
慌てて叔父さんの子である、いとこに電話してみると、「叔父さんは5年以上前に亡くなっていること」、「叔父さんには借金があったため、自分たちは相続放棄をしていること」を聞かされたのです。
10年以上も前から親戚付き合いを全くしていなくて疎遠になっていたため、叔父さんが亡くなったときも連絡を寄越さなかったようです。
また、いとこは自分が相続放棄をすると、被相続人の姪、甥が相続人となってしまうことは知らなかったとのことです。
そんなわけで、「被相続人の死亡」、さらに「先順位の相続人の相続放棄が受理された日」の双方から、3か月以上が経過して相続放棄の申述をしたわけです。
そのため、回答すべき事項が多くなっていますが、被相続人が亡くなっていたことも、先順位の相続人が相続放棄をしていたことも知らなかったのは事実ですから、事実をありのままに述べれば問題は無いと思われます。
全くの没交渉になっている親戚の叔父さんに「借金がないか」、「死亡していないか」を定期的に調査することは困難ですし、そんなことをする義務はありません。
相続関係の整理
あらためて、甥、姪がなぜ相続放棄をすることになったのか、相続関係を整理します。
まず、被相続人は生前に離婚しており、第一順位の相続人である子供は相続放棄申述をしていたのです。
そして、被相続人の直系尊属は先に全員亡くなっていたので、この場合、次順位である兄弟姉妹が相続人となります。
しかし、兄弟姉妹も先に亡くなっていたため、その代襲相続人である甥、姪が相続人となっていたわけです。
ところで、このケースで、甥、姪も被相続人より先に亡くなっていた場合はどうでしょう?
この場合には、甥、姪の子が相続人になることはありません。兄弟姉妹が相続人であったときには、再代襲はしないということです。