相続による不動産の名義変更登記(相続登記)をするためには、法律的に有効な遺言書がある場合を除き、誰が法定相続人であるかを証明する必要あります(遺言書がある場合については後記を参照してください)。

そして、法定相続人が2名以上であれば、相続登記の際に遺産分割協議書を添付することで、誰がその不動産を引き継ぐのかを明らかにします。

なお、法定相続人が1名であれば、その相続人が全ての相続財産を引き継ぐことになりますから、遺産分割協議書が不要であるのは前回の記事「相続人が一人の場合、遺産分割協議書は不要です」の通りです。

誰が法定相続人であるかの証明

誰が法定相続人であるかを証明するには、まず、被相続人の子供の全員を明らかにするため、被相続人(亡くなられた方)が生まれてから(最低でも13歳くらいから)、亡くなるまでに至る全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)を取得します。

たとえば、前妻(前夫)との間に子供がいれば、その子供も相続人ですし、結婚していていない相手との子供(非嫡出子)であっても認知していれば、もちろん相続人となるからです。

被相続人に一人でも子供がいれば、その子供が相続人となりますから、それ以上の戸籍は不要です。しかし、子供がいない場合には、直系尊属(父母、祖父母)が存命であるかを戸籍等で確認し、直系尊属が全員無くなっている場合には、さらに兄弟姉妹の有無を確認することになります。

また、子供がいたが被相続人より先に亡くなっている場合や、兄弟姉妹が相続人となるはずだった場合において、その兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっているときは、代襲相続人の有無を確認する必要もあります。

配偶者および子が法定相続人となる場合は、被相続人の出生にさかのぼる戸籍等の全てを取得するだけですから、比較的容易だといえます。しかし、上記のように、直系尊属、兄弟姉妹と調査の範囲が広がっていくと、ご自身で必要な戸籍等を全て収集するのは困難だと思われます。

司法書士に不動産の相続登記をご依頼いただいた場合、その登記に必要な戸籍等の収集をご依頼者に代わって行うことが可能です。千葉県松戸市の高島司法書士事務所は、相続登記およびその他の相続関連手続を得意としております。ぜひ、お気軽にご相談ください。

遺言書がある場合に必要な戸籍謄本の範囲

法律的に有効な遺言書により誰がその不動産を相続するかが指定されているときは、法定相続人による遺産分割協議は不要ですから、遺産分割協議書は当然不要です。そして、この場合には法定相続人の全員が誰であるかを証明する必要もありません。

したがって、このケースでは、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本の他には、遺言により相続分の指定を受けた方が、相続開始時に適法な相続人であることが証明できる戸籍謄本があれば、その他の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)は不要なのです。

相続登記の関連情報

不動産相続登記(松戸の高島司法書士事務所「相続・遺言の相談室」)