相続登記の申請書・委任状(遺産分割協議による場合)

相続登記を司法書士にご依頼いただく場合、登記申請書や委任状を含めた必要書類のすべてを司法書士が作成します。したがって、相続人であるご依頼者自身が登記申請書や委任状の作成について知る必要はありません。

このページでは相続登記の申請書および委任状の記載例をご参考までに掲載しますが、ご自分で登記をしようとされている方以外はとくにご覧になる必要はありません。

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)への相続登記のご相談を希望なさる場合には、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。

相続登記の申請書・委任状(目次)
1.はじめに(相続登記をご自分で手続きしたい方へ)
2.登記申請書の書式例
3.委任状の書式例

1.はじめに

このページに載せている登記申請書(記載例)には、注意事項としてかなり詳しい解説を加えているので、ご自分で相続登記をしようと考えられている方にも役立つと思います。その分、非常に細かいことも書いていますから、初めての方には難しい記載が多くなっているかも知れません。

登記申請書の記載はだいたい合っていれば大丈夫というものではなく、すべての記載事項が完璧でなければ登記は完了しません。登記申請をした後に、再び法務局へ出向くことで訂正(補正)が可能なレベルの間違いであれば何とかなるとしても、補正が不可能な誤りがあれば一旦取り下げて再び登記申請をしなければならないこともあります(もしも、ご自分で相続登記の申請をした場合、法務局からの電話には必ず出るようにしてください。申請後に法務局から連絡があるのは、補正や取下げが必要な場合です)。

不動産登記は、土地や家という高額な財産の権利について公示するためにおこなうものです(権利の登記)。したがって、手続きは厳格でなければならず、かつ、定型化するのが困難であるため、専門家以外の方が自分でおこなうことを前提としていません。

仮に、「必要書類を完璧に集められなかったとしても、とりあえず法務局に行けば何とかなってしまう」というような手続きだったとすれば、自分が所有している不動産の名義を勝手に変更されてしまうというような事態も頻発することになるでしょう。よって、相続人がご自分で相続登記の手続きをしようとするならば、それなりの覚悟が必要だと思われます。

それでも、数次相続が発生している場合などの特殊なケースを除けば、時間と手間を惜しまないならばご自分で相続登記の申請をおこなうことも可能ではあります。実際に手続きをするにあたっては、書籍やインターネットなどで調査したうえで、必要書類の収集および登記申請書の作成をしてから法務局へ行くことになります。

登記申請書などの作成をする際には、法務局の不動産登記の申請書様式についてのページから、「相続登記申請手続のご案内(遺産分割協議編)」などを見ることもできます。これらのページを見ても何をどうしたらよいのか分からないというような場合には、最初から司法書士に依頼することをお勧めします。

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、相続登記の費用お見積もりを無料で承っておりますので、まずは見積もりをしてもらってから、自分で手続きをするのか、司法書士に依頼をするのか検討することもできます(ご相談予約・お問い合わせはこちらからどうぞ)。

(2023年11月1日追記)「登記相談」は「登記手続案内」へ
千葉地方法務局(本局だけでなく、松戸支局など千葉県内の法務局のすべて)では、令和3年3月1日から「登記相談」は「登記手続案内」に変わっています。
この登記手続案内では、申請書類の様式(見本)をもらったり、申請書類の書き方についての説明を受けることはできますが、係員が書類に手を加えたり、具体的な事案に沿ったアドバイスはしていません。また、申請前の書類に不備がないか審査してもらうこともできません。
よって、現在では法務局で相談しながら登記申請書を作成すれば、自分で相続登記ができるというわけにはいかなくなっているとお考えください。詳しくは、千葉地方法務局による、登記手続案内についてのページをご覧ください

また、登記が完了した後にも、登記識別情報通知書や登記事項証明書などを取りに再び法務局に行くことになります(郵送での手続きも可能ですが、登記手続きをするのが初めての方には困難だと思われます)。法務局は平日の昼間しかやっていませんから、その時間が取れることもご自分で相続登記をするための必須条件だといえます。

なお、ここに掲載する相続登記申請書は、紙の申請書の記載例です。司法書士が相続登記申請をする際は、オンライン申請をするのが通常なので、実際には、この例のような相続登記申請書を使用しているわけではありません。あくまでも、紙申請するのであれば、このような登記申請書になるという例です。

2.登記申請書の書式例

不動産登記申請書は、A4用紙に横書きで作成します。用紙が2枚以上になる場合は、割印(契印)が必要です。

登記申請書

登記の目的 所有権移転

原因 令和6年○月○日 相続

相続人(被相続人 松戸 一郎)

千葉県柏市柏一丁目1番○号

松戸 花子

添付書類 登記原因証明情報 住所証明書 代理権限証書

令和6年○月○日申請  千葉地方法務局松戸支局  御中

代理人 千葉県松戸市松戸○番地の1

甲野 一郎(印)

連絡先の電話番号 047-703-××××

課税価格 金1,000万円

登録免許税 金4万円

不動産の表示

不動産番号 04020000×××××

所在 松戸市松戸

地番 1176番2

地目  宅地

地積  100.00平方メートル

不動産番号 04020000×××××

所在  松戸市松戸1176番地2

家屋番号 1176番2

書類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階50.00平方メートル
    2階40.00平方メートル

登記申請書の記載事項についての注意

1.登記の目的

被相続人が単独で所有者していれば「所有権移転」と書きますが、共有名義だった場合には「(被相続人の氏名)持分全部移転」となります。本例であれば、「松戸一郎持分全部移転」となるわけです。なお、相続により持ち分の一部が移転することは無いので「(被相続人の氏名)持分一部移転」という登記はありません。

2.原因

相続が開始した日(被相続人の死亡の日)を記載します。遺産分割による相続登記であっても、登記原因年月日は遺産分割協議が成立した日ではなく相続開始日です。

3.相続人

被相続人の名前をカッコ書きした後に、不動産を相続する方の住所氏名を記載します。もしも、2名以上の共有名義で登記する場合には、次のように氏名の前に持分を書きます。住所は、住民票に記載されているのと一言一句違うことのないよう正確に書かなければなりません。たとえば、「一丁目1番1号」を「一丁目1-1」や「一丁目1番地の1」と書いては駄目です。

相続人(被相続人 松戸 一郎)

千葉県柏市柏一丁目1番○号

持ち分2分の1 松戸 花子

千葉県我孫子市○○町一丁目1番○号

   2分の1 流山 太郎

4.添付書類

登記原因証明情報としては、被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)、および住民票除票、法定相続人全員の戸籍謄本、および遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付き)が最低限必要です。

住所証明書は、申請人(相続により不動産の登記名義人となる方)のものです。登記原因証明情報、および住所証明書として提出する書類は相続関係説明図などを提出することにより登記完了後に返却してもらうことができます(原本還付)。

代理権限証書とは委任状を指します。したがって、代理人により登記申請する場合のみ、添付書類として代理権限証書を記載します。添付書類について詳しくは、相続登記の必要書類をご覧ください。

5.代理人

代理人により登記し申請する場合のみ、代理人の住所氏名を記載し、押印します。相続人が自分で登記申請する場合の記載例は次のとおりで、相続人の氏名の後に押印します。

登記申請書

登記の目的 所有権移転

原因 令和6年○月○日 相続

相続人(被相続人 松戸 一郎)

千葉県柏市柏一丁目1番○号

 松戸 花子 (印)

 連絡先の電話番号 047-703-××××

添付書類 登記原因証明情報 住所証明書

令和6年○月○日申請  千葉地方法務局松戸支局  御中

課税価格 金1,000万円

登録免許税 金4万円

不動産の表示 (省略)

6.課税価格、登録免許税

課税価格は不動産の固定資産評価額です(1,000円未満の金額は切り捨て)。登録免許税額は課税価格の1000分の4(0.4%)です(100円未満の金額は切り捨て)。

たとえば、不動産の固定資産評価額が12,345,678円の場合、登録免許税は次の計算により49,300円となります。

12,345,678円 → 12,345,000円(1,000円未満の金額は切り捨て)

12,345,000円 × 4/1000 = 49,380円 → 49,300円(100円未満の金額は切り捨て)

7.不動産の表示

不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)に書かれているとおり正確に記載します。土地の地番は「○番○」なのに対し、建物の所在は「松戸市松戸○番地○」で、家屋番号は土地と同じく「○○」となります。

細かい話ではありますが、司法書士以外が作成した書類(遺産分割協議書など)では、地番などが間違っているケースが非常に多いです。実際には、これくらいの誤りで登記が却下されることはありませんが、登記申請書を作成するときには、このような細かい点まで注意が必要だということです。

マンション(敷地権付区分建物)の場合の記載例は次のとおりです。登記事項証明書の「表題部(一棟の建物の表示)」に「建物の名称」(本例では我孫子マンション)が記載されている場合には、一棟の建物の表示の「構造」、「床面積」を省略できます。もし、建物の名称が登記されていなければ、原則どおり全てを記載する必要があります。たとえば、10階建てのマンションであれば1階から10階までの全ての床面積なども書かなければならないわけです。少し古めのマンションでは、このようなケースも珍しくありません。

不動産の表示
一棟の建物の表示
所在     我孫子市我孫子一丁目1番地1
建物の名称  我孫子マンション
専有部分の建物の表示
不動産番号  0424001211111
家屋番号  我孫子一丁目1番1の1000
建物の名称  1000
種類     居宅
構造     鉄筋コンクリート造1階建
床面積   20階部分 100.00㎡
敷地権の表示
所在及び地番 我孫子市我孫子一丁目1番1
地目     宅地
地積     30000.00㎡
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 4000000分の10000

3.委任状の書式例

登記申請の委任状には、絶対にこう書かなくてはならないとの決まりはありませんが、委任事項を漏らさずに記載することが大切です。また、登記識別情報通知書を代理人が受領するには、その旨の委任も必要です。

委任状

千葉県松戸市松戸○番地の1

司法書士 司法 太郎

私は、上記の者を代理人と定め、下記の不動産登記申請に関する一切の権限、及び登記識別情報通知を受領する権限を委任する。

1.登記の目的 所有権移転

2.原因 平成30年○月○日 相続

3.相続人(被相続人 松戸 一郎)

千葉県柏市柏一丁目1番○号

松戸 花子 (印)

4.不動産の表示 後記記載の通り

平成30年○月○日

委任者 千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子 (印)

不動産の表示

不動産番号 04020000×××××
松戸市松戸1176番2の土地

不動産番号 04020000×××××
松戸市松戸1176番地2 家屋番号1176番2の建物

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