相続登記の申請書・委任状(法定相続による場合)
相続登記を司法書士にご依頼いただいた場合、登記申請書、委任状を含めた必要書類の全てを司法書士が作成します。したがって、ご依頼者様が登記申請書や委任状の作成について知る必要はありません。
このページでは相続登記の申請書および委任状の記載例をご参考までに掲載しますが、ご自分で登記をしようとされている方以外はとくにご覧になる必要も無いかと思われます。
遺産分割協議による場合、遺言による場合については、それぞれのページをご覧ください。また、ご自分で相続登記をしようと思われている方は、遺産分割協議による相続登記のページにある「はじめに(登記を自分でしようとされている方へ)」をぜひお読みください。
2.登記申請書の書式例
不動産登記申請書は、A4用紙に横書きで作成します。用紙が2枚以上になる場合は、割印(契印)が必要です。
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原因 平成30年○月○日 相続
相続人(被相続人 松戸 一郎)
千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子
添付書類 登記原因証明情報 住所証明書 代理権限証書
平成30年○月○日申請 千葉地方法務局松戸支局 御中
代理人 千葉県松戸市松戸○番地の1
甲野 一郎(印)
連絡先の電話番号 047-703-3201
課税価格 金1,000万円
登録免許税 金4万円
不動産の表示
不動産番号 04020000×××××
所在 松戸市松戸
地番 1176番2
地目 宅地
地積 100.00平方メートル
不動産番号 04020000×××××
所在 松戸市松戸1176番地2
家屋番号 1176番2
書類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階50.00平方メートル
2階40.00平方メートル
登記申請書の記載事項についての注意
1.登記の目的
被相続人が単独で所有者していれば「所有権移転」と書きますが、共有名義だった場合には「(被相続人の氏名)持分全部移転」となります。本例であれば、松戸一郎持分全部移転となるわけです。なお、相続により持ち分の一部が移転することは無いので「(被相続人の氏名)持分一部移転」という登記はありません。
2.原因
相続が開始した日(被相続人の死亡の日)を記載します。
3.相続人
被相続人の名前をカッコ書きした後に、不動産を相続する方の住所氏名を記載します。もしも、2名以上の共有名義で登記する場合には、次のように氏名の前に持分を書きます。住所は、住民票に記載されているのと一言一句違うことの無いよう正確に書かなければなりません。たとえば、「一丁目1番1号」を「一丁目1-1」や「一丁目1番地の1」と書いては駄目です。
相続人(被相続人 松戸 一郎)
千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子
千葉県我孫子市○○町一丁目1番○号
流山 太郎
4.添付書類
登記原因証明情報としては、被相続人の出生から死亡に至るまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)および除住民票、法定相続人全員の戸籍謄本が最低限必要です。
住所証明書は、申請人(相続全員、1名のみの場合はその相続人)のものです。登記原因証明情報、および住所証明書として提出する書類は相続関係説明図などを提出することにより登記完了後に返却してもらうことができます(原本還付)。
代理権限証書とは委任状を指します。したがって、代理人により登記申請する場合のみ、添付書類として代理権限証書を記載します。添付書類について詳しくは、相続登記の添付書類をご覧ください。
5.代理人
代理人により登記し申請する場合のみ、代理人の住所氏名を記載し、押印します。相続人が自分で登記申請する場合の記載例は次のとおりで、相続人の氏名の後に押印します。
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原因 平成30年○月○日 相続
相続人(被相続人 松戸 一郎)
千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子 (印)
連絡先の電話番号 047-703-3201
添付書類 登記原因証明情報 住所証明書 代理権限証書
平成30年○月○日申請 千葉地方法務局松戸支局 御中
課税価格 金1,000万円
登録免許税 金4万円
不動産の表示 (省略)
6.課税価格、登録免許税
課税価格は不動産の固定資産評価額です(1,000円未満の金額は切り捨て)。登録免許税額は課税価格の1000分の4(0.4%)です(100円未満の金額は切り捨て)。
7.不動産の表示
不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)に書かれているとおり正確に記載します。土地の地番は「○番○」なのに対し、建物の所在は「松戸市松戸○番地○」で、家屋番号が土地と同じく「○番○」となります。細かい話ではありますが、司法書士以外が専門した申請書や遺産分割協議書などでは、間違っているケースが非常に多いのでご注意ください。
マンション(敷地権付区分建物)の場合の記載例は次のとおりです。登記事項証明書の「表題部(一棟の建物の表示)」に「建物の名称」(本例では我孫子マンション)が記載されている場合には、一棟の建物の表示の「構造」、「床面積」を省略できます。もし、建物の名称が登記されていなければ、原則どおり全てを記載する必要があります。たとえば、10階建てのマンションであれば1階から10階までの全ての床面積なども書かなければならないわけです。少し古めのマンションでは、このようなケースも珍しくありません。
一棟の建物の表示
所在 我孫子市我孫子一丁目1番地1
建物の名称 我孫子マンション
専有部分の建物の表示
不動産番号 0424001211111
家屋番号 我孫子一丁目1番1の1000
建物の名称 1000
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 20階部分 100.00㎡
敷地権の表示
所在及び地番 我孫子市我孫子一丁目1番1
地目 宅地
地積 30000.00㎡
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 4000000分の10000
3.委任状の書式例
登記申請の委任状には、絶対にこう書かなくてはならないとの決まりはありませんが、委任事項を漏らさずに記載することが大切です。また、登記識別情報通知書を代理人が受領するには、その旨の委任も必要です。
委任状
千葉県松戸市松戸○番地の1
司法書士 司法 太郎
私は、上記の者を代理人と定め、下記の不動産登記申請に関する一切の権限、及び登記識別情報通知を受領する権限を委任する。
1.登記の目的 所有権移転
2.原因 平成30年○月○日 相続
3.相続人(被相続人 松戸 一郎)
千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子
4.不動産の表示 後記記載の通り
平成30年○月○日
委任者 千葉県柏市柏一丁目1番○号
松戸 花子 (印)
不動産の表示
不動産番号 04020000×××××
松戸市松戸1176番2の土地
不動産番号 04020000×××××
松戸市松戸1176番地2 家屋番号1176番2の建物