相続による不動産の名義変更登記(所有権移転登記)をする場合、法定相続人が複数いるときには、遺産分割協議書を添付するのが原則です。しかし、法定相続人の全員が、その法定相続分どおりの持分で共有名義の登記をするときには、遺産分割協議書は不要です。

たとえば、法定相続人が被相続人の妻、長女、長男の3人だったとすると、その法定相続分は妻2分の1、長女と長男はそれぞれ4分の1ずつです。

このとき、被相続人が所有していた不動産を、妻2分の1、長女・長男4分の1ずつの持分による共有名義で、相続を原因とする所有権移転登記をする際には、遺産分割協議書が不要だというわけです。

共有名義で不動産登記するときの注意点

共有名義で登記をした場合、家屋の建て替えにともなって住宅ローンの借入れをする場合や、その不動産を売却するときには、共有名義人の全員により手続をしなければなりません。したがって、安易に共有名義での登記をしてしまうと後で面倒な手続が必要になることもあるので注意が必要です。

また、法定相続分の通りに共有名義で登記するときは、保存行為として相続人の一人から単独で登記申請することが可能です。つまり、遺産分割協議が整っていない状態でも、名義変更登記(所有権移転登記)をしてしまうことが可能なのです。

しかし、単独申請により共有名義の登記をした場合、登記識別情報通知がその単独申請をした登記申請人にしか発行されません。つまり、他の相続人は共有者として所有権登記名義人にはなるものの、登記識別情報通知書の交付を受けることができないのです。

登記識別情報通知は、かつての登記済証(権利証)に代わるもので、不動産の売却等をする際に必要です。登記識別情報が無ければ登記できないわけではありませんが、余分な手間や費用がかかることになります。よって、法定相続分どおりの登記をする場合であっても、登記識別情報通知の交付を受けるため、法定相続人全員が登記申請人となることが必須だといえるでしょう。

不動産の相続登記や遺産分割協議書については、千葉県松戸市の高島司法書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

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遺産分割協議書の作成(松戸の高島司法書士事務所「相続・遺言の相談室」)